Header image alt text
-Top / 博士課程修了後の進路は?

博士課程修了後の進路は?

 

ここでは、特に本学修了者の実状に沿って、博士後期課程修了者の進路についてご紹介します。


博士課程修了後は、大学・公的研究機関や企業(特に研究職)への就職を目指す方が多いでしょう。しかし、前者の大学・公的研究機関に至っては、ポスト自体が減少傾向にあり、若手が任期なしの安定的なポストに就くことが非常に困難な状況となっています。そのため、博士課程修了者にとっては、ポストドクター(通常は任期2~3年)等の任期付き研究員を経ることが安定的な職を得るまでに経験するキャリアーの1つとして定着しているのが現状です(※1)。正直なところ、大学・公的研究機関でパーマネント職に就ける人は限られているのが実状ではないでしょうか。

一方、企業への就職はどうでしょうか。一般に、博士課程修了者は専門知識は高いものの、知識等の幅広さ、課題設定能力、柔軟性は十分ではないといった声が特に産業界から挙がっており、従って、博士課程学生は企業からの評価が低く、企業に就職するのは難しいと言われています。実際、国が主導で行った企業アンケートでも、博士課程修了者と修士課程修了者を比べた時に、能力はほぼ同等と捉えている企業が8割程度あり、博士課程修了者が特別な魅力を発揮しているとは言えない状況のようです(※2)。しかしこのような傾向は、主に人社、医学系の話であり、理工学系(特に機械工学、電気電子工学、情報、化学)では依然として就職に関する優位性は働いているようです。これは、理工学系博士課程学生は企業と共同研究する機会が豊富であることから、修了後も企業で即戦力になり得ることを反映しているのでしょう。しかしながら、博士課程修了者を定期的に採用している企業は全体の1割程度で、また、限られた企業においてのみの採用のようですので、企業への就職も難しい状況には変わらないでしょう。

一般論はさておき、岩手大学の現状はどうでしょうか。下の表のように、本学工学研究科では9月修了と3月修了が認められており、工学研究科全体で毎年10~20名が博士後期課程を修了しています。
では、本学修了者に対する社会のニーズと進路状況を見てみましょう。

博士後期課程修了者数


本学卒業生を受け入れて下さった企業は、博士課程修了者に対してどのような印象を持っているのでしょうか。2013年に岩手大学工学部卒業生・工学研究科修了生の就職先の企業を対象にアンケートを実施しました。回答を頂いた企業59社の結果を示します。

本学卒業・修了生の就職先企業へのアンケート結果

それによると、今後、博士課程修了生を採用したいと思う企業は10%弱で、依然、学部・修士修了生を主に採用する傾向が強いことが分かります。また、修士・博士課程修了生は、専門知識と課題解決力の点で評価できるが、外国語能力を含むコミュニケーション能力やマネージメント力が十分でないと感じている企業が多いことが分かりました。

工学研究科では、近年、海外研究インターンシップや海外教職員・学生の招聘事業を通して国際的コミュニケーション能力の向上を図るとともに、学内カンパニー設置により、学生のマネージメント力の強化に力を入れています。今後、博士課程修了生の魅力が更にアップし、採用を考える企業が更に増えることを期待したいです。


岩手大学工学研究科博士課程修了者の進路状況については、学務部キャリア支援課で取り纏めており、平成21年度(2009年度)修了生からの調査結果がHPに公開されています。

本学博士課程修了生の進路状況 (キャリア支援課まとめ)

調査結果によると、就職志望者の就職率は、例年100%近くの高水準を保っているようです。進路が不明な学生も若干名いるのは事実ですが、博士課程を修了したといって特段不利に働いている傾向は見られないようです。これは、博士課程修了者の中でも、特に理工学系修了者に対しては、依然として採用する企業や公的機関等が多いことを示しているのでしょう。
参考に、過去5年間の具体的な就職先一覧を以下に示します。

就職先一覧

 

さらに、岩手大学工学研究科では、2012年にこれまでに博士課程修了した200名余の修了生を対象とした大規模な追跡調査を実施しました。それによると、博士課程を修了した学生の3分の1は大学や国、県などの公的な研究機関に就職しています。また、3分の1は会社に勤めています。残りに3分の1については、不明でしたが、多くの人は会社に勤務していると考えています。また、会社の中でも研究所に勤務している修了生も多く見受けられます。

この調査から明らかなように、博士号を取得する大きな目的は、研究者として身を立てるためだと思います。特に、会社における製品開発の現場では、最先端の科学技術を駆使して、研究開発を主導する人材が求められていることを反映していると思われます(※3)。以前は、博士号を取得すると、この道一筋の研究に邁進したがる人もいたのですが、会社ではより柔軟な頭と発想をもった人間が特に必要で、博士課程での研究をベースに会社に入ってからさまざまな分野で活躍する人の方が多いのではないかと思います。

 
chousa
 

 
【参考】
※1:「科学技術白書」文部科学省(平成26年)
※2:「博士課程進学の環境を改善するためのノンアカデミック・キャリアパスに関する調査」野村総合研究所(平成22年)
※3:「我が国の博士課程修了者の就職意識・活動に関する調査研究」文部科学省・科学技術政策研究所(平成24年)